月刊人事スクエア2008年8月号

最低賃金法の改正

最低賃金制度は、使用者が最低賃金法に基づき定められた最低賃金額以上の賃金を
労働者へ支払わなければならないとする制度です。
今般、この制度の根拠となる最低賃金法の一部が改正され、平成20年7月1日より
施行されました。

以下に改正の概要をご紹介いたします。

◆地域別最低賃金

地域別最低賃金をすべての労働者の賃金の最低限度を保障するセーフティネットとして
位置付けることになりました。その決定については都道府県労働局長に義務付け、労働者が
健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護の施策との整合性に考慮
することになりました。
また、地域別最低賃金の不払の場合の罰金額の上限が2万円から50万円に引き上げられました。

◆産業別最低賃金

地域別最低賃金については行政機関に決定を義務付けるのに対して、産業別最低賃金は労使の
イニシアティブにより決定されるものとし、労使関係の申出を要件として決定されるものと
なりました。

また、産業別最低賃金の不払については、最低賃金法の罰則は適用されなくなり、労働基準法の
賃金の全額払違反の罰則が適用されることになりました。

◆派遣労働者の適用最低賃金

派遣労働者には、派遣先の地域(産業)の最低賃金が適用されることになりました。
そこで、派遣元事業者は、労働者を派遣している事業場に適用される最低賃金額を把握しておく
必要があります。

◆適用除外規定の見直し

精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者等に関する適用除外が廃止され、最低賃金の
減額特例が新設されました。

◆最低賃金額の表示

これまで時間額、日額、週額又は月額で定めることとしていた最低賃金額の表示単位が、
時間額のみになりました。

名ばかり管理職問題について

◆日本マクドナルド判決の概要

日本マクドナルドが直営店の店長を管理職と見なして残業代を支払わないのは違法として
埼玉県の店長が同社を相手取り、2年分の未払い残業代や慰謝料など約1,350万円の支払いを
求めた裁判で、東京地裁は「店長の権限は店舗内に限られており、経営者と一体的な立場で
事業を行う管理職とは言えない」と述べ、未払い残業代など約755万円の支払いを命じた。

◆管理監督者の基準

それでは、管理監督者の基準とは一体どのようなものなのでしょうか?

  • 労働条件の決定等の労務管理について経営者と一体的な立場にあるもの。
  • 労働時間、休憩、休日などの規制の枠を超えて活動することを要請せざるを得ない、
    重要な職務と責任を有する立場にあるもの。
  • 基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているもの。

重要なことは、「責任と権限」「時間管理の在り方」「厚待遇」という3つの条件を全て
満たしていることが管理監督者扱いの必要条件となることです。

◆判決後の企業の動き

日本マクドナルドの判決を受け、外食産業やサービス産業を中心に、各社は管理監督者の
処遇に関して早急な対応を迫られています。

セブンイレブン、紳士服の青山商事などは今後、店長に残業代を支払うことを決定。

また、逆にユニクロ、モスフードサービスなどは、上記3要素を満たすという理由で店長を
管理監督者として扱い、残業代の支払は今後も予定していません。

一般企業まで波及し始めた「名ばかり管理職問題」。自社の管理監督者の要件を再度洗い直し、
納得感を持たせられるような制度設計に変更を実施する時期が到来したことは間違いないでしょう。

《声》

「部下が報告、連絡、相談をしない」「部下の時間管理が下手だ」
「部下が積極的な提案をしない」 等々、経営者や管理者の不満は切りがない。
改善しようとして、大々的に社員研修を実施したりするのです。

他方、部下にも言い分があり、こちらも挙げると切りがないのです。
勤務評価や営業活動の相談に乗っていると、相談というよりも部下に対する不満解消の
はけ口の場合があります。
その時、いつも思い出す言葉があります。

ある物の本で気に入った「弧掌鳴り難し」という言葉です。

上司と部下は左右の掌みたいなもので、片方だけでは掌を打つ事も出来ないし、
まして掌を打ち鳴らすことも出来ないのです。「部下にも問題があるかもしれませんが、
経営者や管理者の指揮命令が的確に出来ていますか?」「まず、部下に対して模範的な
行動を示しませんか!」