有給休暇の運用については、意外と悩まれている事業所が多いようです。
そこで運用上の注意点についていくつか触れてみたいと思います。
◆比例付与
正社員以外の従業員にも、有給休暇を取得する権利はあります。
パートタイマー等については、週所定労働時間が30時間未満であって、
かつ、週所定労働日数が4日以下又は1年間の所定労働日数が216日以下の
従業員に対しては、労基法施行規則で定められた日数を付与しなければなりません。
◆時季指定権・時季変更権
有給休暇は、原則として従業員が請求する時季に与えなければなりません。
しかし、請求された時季に有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる」場合は、
事業主の時季変更権が認められます。有給休暇は一定日数前に請求してもらうようにします。
なぜなら事業主が時季変更権を行使するかを検討するために相当な時間が必要となるからです。
◆退職前の有給休暇消化
従業員が退職前に、残りの勤務日数分の有給休暇取得を申し出た場合は、上記の時季変更権が
行使できないので、請求を認めざるを得ません。
◆買い上げ
法定を上回る有給休暇については、買い上げできます。また、退職や時効により結果として
権利が消滅してしまう場合も、買い上げは可能です。
◆半日付与
有給休暇を半日単位で与えなければならないという法律上の定めはありません。
しかし半日単位で付与することは許されています。
半日付与の制度を導入するかは事業所が判断すればよいことになります。
有給休暇については、上手に運用しないと従業員の満足度は下がります。少なくとも以上の点に
注意して、就業規則を整備するなど、職場のルールを明確にするようにしましょう。
質問の多い労働災害、通勤災害の適用に関しての注意点です。
◆出向した社員の場合
出向社員が、出向先の業務で怪我した場合、労災保険請求の手続は出向先、出向元どちらで
行うか迷うところですが、ポイントは指揮命令がどちらから出ていたかです。出向先が指揮
命令を出していれば当然出向先になります。賃金がどちらから支払われていたかは関係あり
ません。
◆直行直帰が多い社員の場合
自宅から得意先へ直行し、得意先を数件訪問後、自宅へ直帰することが多い営業社員が、
自宅から得意先に向かう途中で怪我した場合は、自宅を出て最初の業務先へ着くまでの
途中での事故は通勤災害になります。
◆飛び込み営業先に直行する社員の場合
営業社員が飛び込み営業するため、自宅から現地へ直行する途中で怪我した場合は、
自宅を出て帰るまでが業務です。したがって業務災害になります。
◆会社の規則に違反した社員の場合
会社の規則で、「通勤には公共交通機関を利用すること」とされているのに、
社員が車両等を使用して事故を起こしたようなケースでは、会社の規則で懲
戒処分を受けたとしても、合理的な経路を通っている限り、通勤災害は適用
になります。
いずれにしても思い込みで判断すると後で余計な手間がかかることになりますので、
事故の連絡を受けたら、正確に聞き取り最寄りの労基署か社会保険労務士にご相談
ください。
《声》
「しっぱらい」という言葉があります。殿(しんがり)と同じような意味で、
軍隊が退却する際に最後尾で敵を防ぐ軍のことです。
中堅運送会社の事故処理と苦情処理係のAさんは、この仕事をしていて憤慨する
ことがあります。管理者は、部下の仕事の成果を把握しているのに、部下が発生
させた事故や苦情の処理からは逃げてしまうことです。
事故や苦情が発生すると管理者が共通して言う言葉は、「仕事が忙しいから全部面倒見てよ」
です。部下が発生させた負の成果は、自分の責任と考えられないのです。
大企業が事故等を起こした時も、事故の担当者のみが奮闘している場合と、直ちにトップが
登場する場合があります。軍隊と同様、「しっぱらい」に全てを押し付けて自分は安泰でい
ようとする態度は、人を使う立場の 者として失格ではないでしょうか。




